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23話 屈辱の契約提案

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-11-08 06:00:24

 彼は精神支配の魔法の基本を説明し始めたが、その説明の中に微細な魔力を送り込み、レイニーの意識を揺さぶろうと試みた。

 しかし、レイニーは全く気づかない様子で、ただ嬉しそうに頷いていた。

「うん。うん。それで、それで~?」

 レイニーは興味津々に聞き返した。

 ディアブロの心中には焦りと恐怖が募るばかりだった。こんな状況では自分の力が通じないことを理解し始めていたが、それでも何とかしてこの子供を制御しなければならないと思っていた。

「次に、より高度な精神支配の術を教えよう。これを使えば、対象の意識を完全に支配することができる」

 ディアブロは続けた。彼の声には微かな震えが混じっていたが、必死に冷静を装っていた。

「へぇ〜、面白そうだね! もっと教えて!」

 レイニーは目を輝かせて言った。その無邪気な笑顔に、ディアブロの心は一層冷たくなっていった。彼の内心では、この子供が一体何者なのかという疑問が渦巻いていたが、それを解明する手がかりはまだ見つかっていなかった。

 ディアブロは、内心の焦りと恐怖を押し隠しながら、さらに高度な精神支配の術を説明し続けた。彼の手は微かに震えていたが、何とかしてこの状況を打開しようと必死だった。

♢絶望的な敗北

 レイニーが油断したのか、あるいはディアブロを信用したのか、精神支配を教える流れで、レイニーの体に自然な流れで触れられるチャンスが訪れた。ディアブロは当然、間接的に目を見つめ魔力を使うことで相手を支配できるが、より確実により強力に支配するには、相手に直接触れ、直接オーラを流し込めれば支配できたも同然だ。

 ディアブロは、レイニーの体に直接触れ、悪魔のオーラを流し込もうとした。しかし、魔力が全く入っていかない。通常、体に触れ直接的に魔力を流し込み侵食し精神支配をすれば、多少力の差があっても可能で失敗することはなかったはずなのに。

 レイニーの魔力の性質や魔力量を覗こうとすると、その溢れ出す闇属性特有の負のオーラにレイニーは覆われており、ディアブロは負のオーラをまともに食らってしまった。ディアブロは、魔力の強大さや魔力量を調べるどころではなくなり、吐き気を感じるほど気分が悪くなった。

「なんだ!? この負のオーラの密度、オーラの量……。こんな存在はありえん!? この密度と量の負のオーラを纏う者の存在は……古代の最強の魔王と恐れられていた者だが、それを遥かに越えているぞ……いや、それ以上の者の存在を超えているかもしれん」

 ディアブロは驚愕し、絶望感が押し寄せてきた。侵食や支配など到底無理だと悟った。……次元が違いすぎる。まるで赤子が格闘家に戦いを挑むようなものだ。

「最上位の悪魔に、これほどの絶望を与えるやつが存在するとはな……完敗だ……」

 ディアブロの心中には、これまで感じたことのない恐怖と無力感が広がっていた。彼は自分の力が全く通じないことを理解し、レイニーという存在の異常さに圧倒されていた。

♢屈辱の契約

「ね、ねぇ〜。他には?」

 レイニーの無邪気な問いかけに、ディアブロは焦りを感じながら答えた。

「すまない。我には……」

 ディアブロは視線をそらし、苦渋の表情を浮かべた。

「え? そうなの?」

 レイニーの返答に、ディアブロは心の中で策を練り始めた。何とかしてこの状況を打開しなければ。

「ちょ、ちょっと待て、我と契約をしないか?」

 ディアブロは、焦りを隠しながら言葉を続けた。契約さえしてしまえば、異次元空間に閉じ込められはしないだろうと考えた。もしかしたら対等な関係になれるかもしれん。我も、これでも悪魔の最上位だからなと、僅かな望みにすがりついた。

「えぇ? 契約って何の契約なの? 変なことを企んでるんでしょ?」

 レイニーは疑わしげに問いかけた。

「同盟のような契約だ。裏切れないといったところだ」

 ディアブロは冷静を装いながら答えたが、内心では焦りが募っていた。

「え? なんで? 必要ないでしょ。俺に何の得もないしさぁ〜。それに、それじゃ実験できなくなっちゃうじゃん!?」

 レイニーの言葉に、ディアブロは絶望感を覚えた。

「契約をしてもらえれば、役に立つぞ」

 ディアブロは、必死に説得しようと試みた。レイニーは嫌そうな顔をしてきた。

「えぇ〜役に立つって、具体的に何をしてくれるの? 悪魔との契約は、好きじゃないんだけど……」

 レイニーの問いかけに、ディアブロは一瞬言葉に詰まった。

「いろいろとだな……役に立つぞ。契約と言ってもだな……対価は必要ないぞ! 対価なしで、最上位の悪魔を仲間にできるのだぞ!?」

 ディアブロは、自信なさげに必死に答えた。

「……それ、役に立つって言ってるけどさ、ただ言ってるだけで……実は、何も考えてないよね? その程度の強さの悪魔を仲間にしてもなぁ……」

 レイニーの指摘に、ディアブロはさらに焦りを感じた。

「側で守ってやるぞ。それに、話し相手にもなるぞ」

 ディアブロは、最後の手段として思いつく物を全て提案した。

「……そんな怖そうなヤツが側にいたら大騒ぎだし、必要ありませんっ」

 レイニーの断固とした態度に、ディアブロは完全に追い詰められた。

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